懐かしい雨の匂い 小山田壮平 AL

もう一度君に会えたその時は
懐かしい雨の匂いのことを話そう
椿の赤に濡れたしずくを見た
遠い遠い記憶が舞い戻る
青と群青が混ざり合う空に
心奪われながら走り抜けて
公園の先のあのカーブで再開
胸が弾んじゃうような あの匂いのこと
あれからまた僕らは
走って行く 流れて行く

懐かしい雨の匂いのことを話そう
きらきら光るトタン屋根の血の香り
世界は今よりももっと大きくて
あれからまた僕らは走って行く
あの空を見上げたら 淡い夢の中へ
俯いた心にも 小さな虹がかかる

もう一度君に会えたその時は
懐かしい雨の匂いのことを話そう
立ち止まったあの日の瞳がふたつ
覗き込んで時を止めてしまうよ